入力ファイル作成
概要
- 入力ファイルの作成には
tleap
、あるいはxleap
(GUI バージョン) を使う (ここでは tleap での操作を紹介する) - ここでは、hoge.pdb という構造ファイルから、Amber14SB 力場を指定した入力ファイルを作成する
特殊な残基 (リガンドなど) を含まない系
$ tleap > source /opt/amber16/dat/leap/cmd/leaprc.ff14SB > system = loadpdb hoge.pdb > check system > addions2 system K+ 0 > solvatebox system TIP3PBOX 20.0 > saveamberparm system hoge.prmtop hoge.inpcrd
source
: パラメータファイル (力場) を読み込む- パラメータファイルは $AMBERHOME/dat/leap の prep、lib、parm、cmd に含まれている; cmd がパラメータセットなので、ここのファイルを読み込むと、複数のパラメータを一度に読み込んでくれる
- tleap 実行時に -f オプションでパラメータファイルを指定すると、この source コマンドは不要
- 'loadpdb': PDB ファイルを読み込む
- ここで指定した
system
は、変数名なので任意の文字列で OK。以降は構造を変数名で指定していく。
check
: 構造やパラメータのチェック- 構造に問題があると、ここでエラーや warning が表示される (エラーが出た場合は、
quit
で tleap を終了させて、構造やパラメータをチェックしなければならない)WARNING: The unperturbed charge of the unit: x.xxx is not zero.
系の電荷が 0 でない場合に表示される (この後の addions2 で解決できるため、無視しても良い)Warning: Close contact of DISTANCE angstroms between .R<RESIDUE1>.A<ATOM> and .R<RESIDUE2>.A<ATOM>
原子間の距離が近すぎる場合に表示される (この後の最適化で解決できるため、無視しても良い)
addions2
: イオンを系に追加する- 第1引数: 系を指定する変数
- 第2引数: 追加するイオン
- 第3引数: イオンの個数 (0 を指定すると、電荷が 0 になるようにイオンが追加される)
- 第4引数: 追加する別のイオン
- 第5引数: 追加する別のイオンの個数 (0 を指定すると、電荷が 0 になるようにイオンが追加される)
solvatebox
: 水分子を追加する (この他に solvateshell や solvateoct などのコマンドも存在する)- 第1引数: 系を指定する変数
- 第2引数: 水分子のモデルの指定 (
TIP3PBOX
は TIP3P の水分子モデルを指定している) - 第3引数: 溶質からの水分子の厚さ(Å) (ここでは、溶質から 20 Å を指定している)
saveamberparm
: 入力ファイルを保存する- 第1引数: 系を指定する変数
- 第2引数: パラメータファイル (MD計算で使う)
- 第3引数: 構造ファイル (MD計算で使う)
リガンド (通常の力場に含まれない低分子) を含む系
書きかけ
特殊残基 (通常の力場に含まれない残基が結合している) を含む系
書きかけ
周期境界ボックスのサイズを指定する場合 (溶液のイオン濃度を指定する場合)
- 中心座標の取得
$ tleap > source /opt/amber16/dat/leap/cmd/leaprc.ff14SB > system = loadpdb hoge.pdb > check system > center system > quit
center
コマンドで表示された座標をコピーしておく (コンマで区切った値であることに注意)
- 入力ファイルの作成
$ tleap > source /opt/amber16/dat/leap/cmd/leaprc.ff14SB > system = loadpdb hoge.pdb > set system box {X Y Z} > translate system {コピーした座標にそれぞれ -1 をかけた座標} > addions2 system K+ 0 > solvatebox system TIP3PBOX 0.1 > saveamberparm system hoge.prmtop hoge.inpcrd
set … box
: 周期境界ボックスのサイズを設定 (スペースで区切った値であることに注意)translate …
: 系の座標のシフト (コンマで区切った値であることに注意)set … box
は原点 (0,0,0) を中心に展開するので、系の中心を原点にするため、各座標の値に -1 をかけたものを指定する
solvatebox …
: ここで指定された厚さは指定したボックスからの距離となるので、0.1 などの小さい厚さを設定しておく