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AMBER

  • 分子動力学 (Molecular Dynamics; MD) 計算プログラム
  • MD エンジンは、2 年に一度 (偶数年) リリースされるらしい。
  • AMBER の入力ファイル作成や解析に必要なツール AmberTools は毎年リリースされるらしい。
  • MD エンジンは有償
    • もともと sander と呼ばれる実行プログラムが MD エンジンだったが、それより高速に計算できる PMEMD がリリースされた。
      • PMEMD は、sander の一部機能を削り、高速化を重視しているらしい。
      • とはいえ、普通に使う分にはあまり支障がないのだが…。
    • 高速に計算する MD エンジン PMEMD は有償のままだが、sander は AmberTools に付属され、無償化している。
      Ag++ : Mac OSにAmberTools 14をインストール
  • AmberTools は無償
  • 入力ファイルの作成には tleap、あるいは xleap (GUI バージョン) を使う (ここでは tleap での操作を紹介する)
  • ここでは、hoge.pdb という構造ファイルから、Amber14SB 力場を指定した入力ファイルを作成する
  • 特殊な残基 (リガンドなど) を含まない系 ()
    $ tleap
    > source /opt/amber16/dat/leap/cmd/leaprc.ff14SB
    > system = loadpdb hoge.pdb
    > check system
    > addions2 system K+ 0
    > solvatebox system TIP3PBOX 20.0
    > saveamberparm system hoge.prmtop hoge.inpcrd
    • source: パラメータファイル (力場) を読み込む
      • パラメータファイルは $AMBERHOME/dat/leap の prep、lib、parm、cmd に含まれている; cmd がパラメータセットなので、ここのファイルを読み込むと、複数のパラメータを一度に読み込んでくれる
      • tleap 実行時に -f オプションでパラメータファイルを指定すると、この source コマンドは不要
    • 'loadpdb': PDB ファイルを読み込む
      • ここで指定した system は、変数名なので任意の文字列で OK。以降は構造を変数名で指定していく。
    • check: 構造やパラメータのチェック
      • 構造に問題があると、ここでエラーや warning が表示される (エラーが出た場合は、quit で tleap を終了させて、構造やパラメータをチェックしなければならない)
        • WARNING: The unperturbed charge of the unit: x.xxx is not zero.
          系の電荷が 0 でない場合に表示される (この後の addions2 で解決できるため、無視しても良い)
        • Warning: Close contact of DISTANCE angstroms between .R<RESIDUE1>.A<ATOM> and .R<RESIDUE2>.A<ATOM>
          原子間の距離が近すぎる場合に表示される (この後の最適化で解決できるため、無視しても良い)
    • addions2: イオンを系に追加する
      • 第1引数: 系を指定する変数
      • 第2引数: 追加するイオン
      • 第3引数: イオンの個数 (0 を指定すると、電荷が 0 になるようにイオンが追加される)
      • 第4引数: 追加する別のイオン
      • 第5引数: 追加する別のイオンの個数 (0 を指定すると、電荷が 0 になるようにイオンが追加される)
    • solvatebox: 水分子を追加する (この他に solvateshell や solvateoct などのコマンドも存在する)
      • 第1引数: 系を指定する変数
      • 第2引数: 水分子のモデルの指定 (TIP3PBOX は TIP3P の水分子モデルを指定している)
      • 第3引数: 溶質からの水分子の厚さ(Å) (ここでは、溶質から 20 Å を指定している)
    • saveamberparm: 入力ファイルを保存する
      • 第1引数: 系を指定する変数
      • 第2引数: パラメータファイル (MD計算で使う)
      • 第3引数: 構造ファイル (MD計算で使う)
  • リガンド (通常の力場に含まれない低分子) を含む系
書きかけ
  • 特殊残基 (通常の力場に含まれない残基が結合している) を含む系
書きかけ
  • 周期境界ボックスのサイズを指定する場合 (溶液のイオン濃度を指定する場合)
    1. 中心座標の取得
      $ tleap
      > source /opt/amber16/dat/leap/cmd/leaprc.ff14SB
      > system = loadpdb hoge.pdb
      > check system
      > center system
      > quit
      • center コマンドで表示された座標をコピーしておく (コンマで区切った値であることに注意)
    2. 入力ファイルの作成
      $ tleap
      > source /opt/amber16/dat/leap/cmd/leaprc.ff14SB
      > system = loadpdb hoge.pdb
      > set system box {X Y Z}
      > translate system {コピーした座標にそれぞれ -1 をかけた座標}
      > addions2 system K+ 0
      > solvatebox system TIP3PBOX 0.1
      > saveamberparm system hoge.prmtop hoge.inpcrd
      • set … box: 周期境界ボックスのサイズを設定 (スペースで区切った値であることに注意)
      • translate …: 系の座標のシフト (コンマで区切った値であることに注意)
        • set … box は原点 (0,0,0) を中心に展開するので、系の中心を原点にするため、各座標の値に -1 をかけたものを指定する
      • solvatebox …: ここで指定された厚さは指定したボックスからの距離となるので、0.1 などの小さい厚さを設定しておく
  • 分子シミュレーション関連/amber.1473389474.txt.gz
  • 最終更新: 2016/09/09 11:51
  • by mumeiyamibito